『ガンダム』界、特に平成以降の作品に数多く登場する「光の翼」。その元祖となるのが『機動戦士Vガンダム』に登場する「V2ガンダム」に搭載された「ミノフスキー・ドライブ・ユニット」から放出される余剰エネルギーだ。ミノフスキー・ドライブとはどのような技術なのか紹介する。
■宇宙世紀最強MSの根幹をなす技術「ミノフスキー・ドライブ」
1.基本性能と開発史
『ガンダム』の世界にはミノフスキー粒子が存在しており、1年戦争時代からこれがミノフスキー物理学として、ガンダム界の根本的な理論を形成している。レーダーを無効化するなどの効果から、ホワイトベースのような戦艦が大気圏内でも飛行できたのはミノフスキー粒子の効果である。
「ミノフスキー・クラフト」と呼ばれる大型の装置を用いて、ミノフスキー粒子に電力を与えることで、力場を生成する。ホワイトベースなどの戦艦クラスであれば、ミノフスキークラフトが搭載可能であり、その効果で宙に浮かんでいられるのである。当然ながら浮かんでいるだけなので、そこから動くには推進機から推進力を得る必要がある。
その技術のダウンサイジングを行い、MSに搭載したものが「ミノスキー・フライト」と呼ばれる技術だ。30m級の「クスィーガンダム」に搭載されたものからなのか、15m級の「Vガンダム」に搭載されたものをそう呼ぶのかは、媒体によって設定が異なる。
これらのミノフスキー物理学から生まれた「浮遊」のための技術は、推進剤を使用する推進機とセットでの使用が前提であり、これが継戦能力に直結していた。しかし宇宙世紀がたどり着いた結論「ミノフスキー・ドライブ」は、ついに推進剤を必要とせずMSを飛翔させることに成功した。ドライブのユニット内にミノフスキー粒子を高圧縮し、任意方向に開放する事で、その反発によって推進力を得る事が可能とされる。そこから得られる大推力はカタログスペックで「測定不能」となり、亜光速まで加速が可能とされている。
2.ミノフスキー・ドライブ・ユニットのもたらすもの
ミノフスキー・ドライブが搭載されたMSにもたらすもの、まずは前述の通り破格の大推力だろう。劇中でもV2ガンダムは大気圏を突破寸前まで達成しており、大気圏突入を行ったMSは多数存在するが、単体での大気圏突破はほとんど前例がない。
また推進剤を必要としないことで、継戦能力が大幅に向上する。また軽量化により得られたペイロードを自由に使うことができ、「V2アサルトバスター」というフルアーマー形態になっても、追加の推進機を必要としないという破格の性能をもっている。
さらにこれがおそらくV2ガンダムを宇宙世紀最強と呼ばせる理由だが、慣性緩和機能が付けられており、最大20Gまで軽減が可能となっている。よって劇中でもみせた直角の軌道や、予備動作なしでの急停止ができる、「Vの字の残像を残して消えた」とまで見える戦闘軌道が可能となったのだ。
3.ミノフスキー・ドライブ搭載機
MSの最大の武器が機動性であることを表したミノフスキー・ドライブ。しかしこの技術はV2ガンダムに搭載されたものでも未完成品であり、それゆえ余剰エネルギーである「光の翼」が発生する。主なミノフスキー・ドライブ搭載機としては、以下のものが挙げられる。
・V2ガンダム(ミノフスキー・ドライブは未完成品)
・ザンスパイン(V2ガンダムと同程度の完成度と考えられる)
・ファントム(V2ガンダムの50%程度の完成度)
・ノエル・レイス(V2ガンダムの85%程度の完成度)
こうしてみてもV2ガンダムのものが最高完成度であることが分かり、その後の時代ではMS開発は衰退しているため、ロストテクノロジーとなりつつある。
■まとめ
『ガンダム』における光の翼の元祖であり、宇宙世紀最強の声も多いV2ガンダムの根幹をなす技術『ミノフスキー・ドライブ・ユニット』を深掘りして紹介した。1年戦争時から類似の技術は存在し、MSの開発が進むとともに推進機の開発も進められ完成したもので、宇宙世紀がたどりついた到着点ではあるだろう。それだけに本当の完成をみることが未だできていないのは寂しくもあり、ユニコーンガンダムなど別ベクトルでの最強クラス機体がいても、V2ガンダムが宇宙世紀最強であってほしいと思うのは筆者だけだろうか。
コメント